肩甲骨は浮き出なくて良い

今回はよくある肩甲骨に対する誤った認識について話していきたいと思います。
テレビやSNSでもよく聞く肩甲骨にまつわるフレーズで「肩甲骨はがし」と言うのもがあるかと思います。
一番流行ったのはもっと前かと思いますが、いまだに肩甲骨はがしと言うフレーズを聞く、見る機会がたびたびあります。

この肩甲骨はがしと言うのは多くの場合肩甲骨と肋骨の間の肩甲胸郭関節に手をいれてその周辺の筋肉を含めた組織をリリースすることで肩甲骨が動きやすくなる。というようなアプローチかと思います。



確かに行われた後などは肩甲骨が動きやすくなる感じがしたり、肩回りが軽く感じたりという反応が起こるかと思いますが、そもそも肩甲骨は肋骨からはがれたほうがいいのか?という所を考える必要があるかと思います。

と言うのも肩甲骨の症状の1つとして「翼状肩甲骨」と言うのものがあります。
これは読んで字のごとく肩甲骨が翼状に見えるようになることです。肩甲骨が肋骨から過度に浮き出て後ろから見た際に翼状に見えることからこのような名前がついています。

すなわちこれは「肩甲骨が浮き出ていて素晴らしいですね!」と褒められた話ではなく「肩甲骨が浮き出て”しまっている”」というマイナスな事象を指しています。
主な原因としては肩甲骨を肋骨に張り付けておく、安定させておく役割のある前鋸筋という筋肉を支配する長胸神経の麻痺が原因とされています。



ようは前鋸筋の機能が落ちて肩甲骨を肋骨上に安定させておくことができないことで浮き出てしまうということです。そしてこうなると手を上げる際に重要な肩甲上腕リズムが破綻して手が上がらなくなったり、つまり感が出てきたり、痛みが出てきたりなど弊害が起こってきます。

ですので肩甲骨はがしで肩甲骨を肋骨からはがす方向に働きかける行為というのは一見肩甲骨が動きやすくなって、可動性が増す感じもしますが、安定性を失うことで返って肩甲上腕リズムの破綻を引き起こし手が上がりづらくなる、肩甲骨周りが安定しないことで肩が凝りやすくなるなどの可能性も出てくるということです。

翼状肩甲骨は長胸神経麻痺により前鋸筋が機能しなくなるまでの話ですので肩甲骨はがしを定期的にしているくらいで翼状肩甲骨くらい肩甲骨が浮き出てしまう方はいないかと思いますが、肩甲骨はがしを行うことで少なくとも前鋸筋の働きを抑制してしまいます。
そして大前提の認識として「肩甲骨が浮いている、よく見えることが良いこと」という認識は危険ですのでぜひこのような情報も頭の片隅に入れておいてもらうと良いかと思います。